円錐角膜とは?原因や新しい治療法について解説
2021.07.13
円錐角膜とは、眼球の「角膜」が尖ってきて、年齢とともに近視や乱視が強くなる病気です。
10代〜20代に発症しやすく、年齢が進むにつれて病気も進行していきます。
円錐角膜には自覚症状がほとんどなく、検査をして初めて自分が円錐角膜と気付く方が半数以上です。
近視や乱視がどんどん進む場合、円錐角膜の可能性が高いかもしれません。
今回は、円錐角膜の原因と、私が行っている治療法についてお話しします。
円錐角膜の原因
円錐角膜の原因は、まだはっきりわかっていません。
現時点で、以下の方に円錐角膜が多いと言われています。
・アトピー性皮膚炎がある方
・ダウン症候群の方
・睡眠時無呼吸症候群の方
また最近の研究では、以下のような要素も関係があるとわかってきました。
・炎症と関わりがある可能性
・遺伝的要素や、遺伝子異常が関わっている可能性
今後研究が進めば、もっとたくさんのことがわかるかもしれません。
円錐角膜の治療法|メガネやコンタクトでの矯正
円錐角膜の古くからの治療法に、メガネとハードコンタクトレンズを使った矯正があります。
軽度の円錐角膜であればメガネで矯正できますが、中度に進行するとメガネでは対応できなくなります。
理由は、
・通常の近視・乱視メガネでは、矯正できないほど不正乱視が出てくる
・強い近視や乱視ではメガネが分厚くなりすぎ、頭がクラクラしてメガネがかけられない
といったものです。
そこで次の矯正方法として、ハードコンタクトレンズを使用することになります。
ハードコンタクトレンズは円錐角膜の治療ではとても優れた方法で、よい視力が得られます。
しかし円錐角膜がさらに進行すると、コンタクトレンズでも難しくなるケースがあるんです。
例えば、
・コンタクトレンズを入れても見えにくい
・異物感が強く長時間つけられない
などです。
そうなると、角膜移植が必要になる場合があります。
円錐角膜の新しい治療法|角膜クロスリンキング
円錐角膜が進行すると、角膜移植が必要になる場合があるとお話ししましたが、近年新しい治療法が広まっています。
それは、2003年に登場した円錐角膜の新しい治療法、「角膜クロスリンキング」。ドイツのドレスデン大学の先生が考案した方法です。
円錐角膜の方の目のコラーゲン繊維は、普通の方に比べてとても柔らかいので変形しやすいのですが、角膜のコラーゲンを固めて今後変形しないようにする治療が「角膜クロスリンキング」です。
クロスリンキングとは「架橋」という意味から名付けられています。
「角膜のコラーゲン繊維をくっつけて、角膜全体を硬くする」治療法です。
角膜クロスリンキングはドイツで発表されて以降、ヨーロッパ、アフリカ諸国、南アジアなど数多くの国で取り入れられてきました。
理由の一つは、治療法の中でも比較的やすく手軽にできる治療だったからです。
日本でも徐々に広まっている治療法で、人種を問わず日本人にも、円錐角膜の進行を止める働きがあるとわかっています。
円錐角膜の治療で大切なのは、
・裸眼やメガネで見えていた方が、ハードコンタクトレンズを使用する前に発見すること
・ハードコンタクトレンズで見えていた方が、角膜移植が必要な段階に進行させないこと
つまり、早期介入が特に重要です。それを可能にするのがこのクロスリンキング治療です。
まとめ
私は現在、以下の病院で診療をしております。
円錐角膜では、以下の治療を行っております。
・眼鏡
・コンタクトレンズ
・角膜内リング
・角膜クロスリンキング
・最先端の角膜移植
治療法の選択肢が多いので、お気軽にご相談ください!